ARCHITECTURE - PROJECT
- 和田の集合住宅: 2017
- 河辺の家 改修計画: 2012
- 道の駅 尾花沢 花笠の里 ねまる: 2007
- Proto House 0511: 2005
- 小金井の家: 2005
- 妙蓮寺の家: 2004
- Y RESIDENCE: 2001
ARCHITECTURE - ARTICLE
「気積」とは...
「気積」とは場所の床面積×高さのことで、空間に関して用いる場合は一般的に立方メートルという単位で表します。
不動産情報を見慣れた目には床面積で空間の広さをイメージしがちですが、狭小な空間においては特に天井高さの変化を魅力的に計画することが、実体験での広がりを演出する上で大きなポイントとなります。
「小金井の家」の主室は天井高2.1mの空間と3.9mの空間が連続しています。床面積は同じですので、気積でいうと約1.85倍です。空間を仕切らず連続させることで、天井高が低いところでも非常に開放的に感じる事ができます。
また気積の大→小、小→大という、二つの空間内の移動においては、空間のダイナミズムをリアルに感じ取ることができます。つまり、広がりを絶対的にとらえるのではなく、隣接する空間や装置との相対的な関係から捉えようとする感覚に訴えかけようとしている訳です。 このような手法は実は茶室の躙り口(にじりぐち)などでも見受けられるものと考えられます。そこでは、ほんの数畳しかないような空間への入口があのように不自然に小さくなっていることで、中へ入った瞬間の劇的な印象を演出する助けのひとつになっています。 こうして、気積のメリハリを利用して空間を構成する、という操作によって、狭小地であってもゆとりのある空間を生み出すことができるのではないかと考えています。 ちなみに、建築基準法における「容積率」とは敷地面積に対しての延べ床面積の割合であり、文字通り高さ方向を含んだ「容積」そのものをさす訳ではありません。床面積はそのままに、高さを稼ぐことで限られた空間の広がりを獲得しよう、という訳です。