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「小金井の家」の照明計画

revised: 2005 / 11 / 21

町並との関係も考えた照明計画

小金井の家、夜景。町並みの中で行灯のような佇まいを見せる。

「小金井の家」は通常の住宅よりも開口部が多くなっています。つまり夜間はその分外部へ灯りがこぼれることになる、ということです。そのため周囲から見られることを意識した照明計画としました。
開口部にはすべて遮光タイプのロールスクリーンが取付けられています。ただ、「遮光タイプ」とはいえ、完全に室内の灯りがこぼれない、というわけにはいきません。器具をすべての開口部に設置しているため、逆にこのスクリーンが光をはらみ、町中に浮かぶ行灯のような効果を生み出しています。昼間は室内からの眺めを断片化している市松状の開口部が、夜間は内部と外部の関係性を反転させ、住宅地の照明装置ともいえる具合に機能しています。
開口部に器具を設置することで、窓面への影の映り込みは最低限に押さえられるようになっています。また、器具は主に商業施設などで使用されることの多いソケットが直接見えないものを用いて「あかり」を純化させることに注力し、照明には電球色を用いることで、過度な灯りを避け、暖かみある風情となることを意図しています。


天井照明をなくす試み

小金井の家、主寝室。窓枠上面に取付けられた直接光とベッドサイドの間接光を別々に操作することで室内を効果的に演出することができる。

「小金井の家」の2階には天井付の器具がありません。これは計画の上でのひとつのルールのようなもので、闇雲に天井に照明がついている状況をいったん捨ててみることで新たな空間作りが可能ではないかと考えたものです。実際、器具や取付金物がいっさい存在しない天井は想像以上にシンプルで好もしい雰囲気を生み出していると思います。
勿論、必要に応じて照度を確保できるようにフロアコンセントを多く設置してあるので、自在に照明器具を追加することができます。