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モジュラーコーディネイション

revised: 2005 / 11 / 24

システマティックな多様性

「妙蓮寺の家」では、吹抜けに面した手すりを収納と兼用するという試みを展開しました。その際、アルミオーダー家具として発注されたこのプロダクトがどのような仕組みに基づいたものなのかもう少し詳しく紹介しましょう。

モジュラーコーディネイション

モジュラーコーディネイションとは一定の寸法規格に基づいたデザイン手法ということができます。既製品として手に入る工業製品の寸法規格に基づけば経済的にオーダーシステムを構築することが可能です。例えばこの手すり兼収納家具では幅90cm、高さ17.5cmが基本の寸法単位となって様々な手すり+棚のバリエーションを構成しています。その可能性を図示したのが上の図版です。ここで重要なのはいったん組上げてしまったパターンもパーツを分解し、最小限のパーツを加えたり間引いたりすることで再構成が可能となり、例えば3→5へ、などと組み替えることができる点です。しかも組み立ては六角ボルトを用いているだけなので、経年変化をのぞけば素材自体の痛みもなく、クライアントご自身での組み替えも可能です。

アルミシェルフレイアウトパターン例。ここでは計6通りのパターンをクライアントに提示した。

システムにおけるランダムネス

下の図版では上で紹介したモジュールのパターンを織り交ぜて全体を構成した場合のサンプルを表示しています。一定のシステムを採用しながらある程度の自由を持たせることで、全体のバランスが崩れることなく、デザインの統一が図られる結果となります。ちなみにこちらのクライアントはあまりランダムな様子を求めておられず、上の図版で示されている「3」のパターンを選択されました。

様々なパターンを織り交ぜてシェルフを構成した場合のサンプル。