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都市の魅力ある特長づくり
現在出張でイタリアのボローニャに滞在しています。ヨーロッパの歴史ある街のご多分に漏れず、旧市街は徒歩圏内でそれほど大きな街とも思えませんが、食にはうるさいイタリアの中でも「くいだおれの街」、「最古の学都」として知られているそうです。
私にとってこの街は学生時代に訪れて以来、2度目の訪問となりますが、建築的にはひとつが大きく傾いた双子の塔と「回廊」都市としてよく知られています。私の恩師、建築家の鈴木恂先生による最新刊のひとつに「回廊」という写真集がありますが、そちらでもボローニャに多くのページが割かれています。
この旧市街を通るほとんどの大通りはロッジア(柱廊)をもち、すばらしい都市機能を果たしています。
都市の中間領域としてのロッジアは明確な用途を規定されることなく、ある場所では雨を凌ぎながらゆっくりとショッピングを楽しむことのできるギャラリー、また別の場所ではカフェのテーブルがならべられ、またテーブルがなくとも人が集まれば話が弾み、人だかりに、といったような具合に使い手によってその空間の質を大きく変容させて行きます。
このような都市的な仕掛けは建築物単体で作り上げることは難しく、それこそ行政、開発の主体たる民間が一体となって大きな意志、ビジョンのもとに実現して行くしかありません。こうした統一された街のコンセプト、というものが都市をより一層魅力的なものにしているようです。