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イル・レデントーレ教会、ヴェネツィア
Il Redentore, Venezia

revised: 2008 / 10 / 28

祝祭の間だけ現れる都市空間。
(1992年7月、ヴェネツィア)

祝祭を補完する類稀なる都市装置

大きな運河を隔ててヴェネツィア本島に添う形で浮かぶジュデッカ島。そのジュデッカ島を特徴づけていながらサン・マルコ広場から見るには遠すぎてサルーテ教会の裏側に回り込まないと「よく」見えない位置にあるのがアンドレア・パッラーディオ設計のイル・レデントーレ教会。
ただし、今回取り上げるのは教会の建物そのものではなく、毎年7月の第三日曜日に開催されるというレデントーレ祭の折、運河に突如現れる浮き橋の方。
この写真は1992年の7月、奇しくもペスト撲滅を祈念して建設がはじまったこの教会が竣工してからちょうど400年目、という節目の年のもの。
確か祭りの前日から海軍の手により、カナル・グランデ(ヴェネツィアの大動脈ですね)よりもかなり川幅の広いジュデッカ運河に台船が設置され、普段は彼岸に浮かぶように建つ姿を見るだけの教会に歩いて渡ることができるようになります。
レデントーレ教会の鐘楼の鐘が鳴り響くなか運河上を進んでいくにしたがい、これがいわゆる「祝祭的空間」なのか、との思いを新たにしたことを思い出します。

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